連休を息子と過ごした最終日の夜、変わらずしきりに抱っこをせがむ息子を前に、私は動けなくなってしまいました。
「抱っこしたくない…。」
いつになったらラクになるのだろう、と思う一方で、こんな思いを地球から減らす魔法使いになりたいなあ、とぼんやりと思いました。

一人寝をする二才児がいます。その子の親は、暗い部屋に一人でいさせて、泣き疲れて眠るまで待つ、というのを繰り返して習慣をつけた、と私に話しました。
暗闇で親を求めるその子の気持ちを考えたら、胸を引きちぎられるようでした。その話がずっと頭から離れず、随分考えてできる行動はしたけれど、結局私はほとんど何もできていません。私に魔法が使えたなら、と思いました。

簡単に嘘をついて人を裏切る人がいました。その人は私が見ている間ずっと、誰にも心を開きませんでした。
その人がある日私に話してくれました。小さい頃、お母さんが扉の向こうに一人で行ってしまって、僕がドンドンと扉を叩いても、泣いて「開けて」と頼んでも、お母さんは開けてくれなかったんだ、と。

私は魔法使いになりたい、と本気で思います。これまで私は、読むこと・書くこと・話すこと・聞くこと・教えることを中心に、本を絡めた自分がワクワクする活動をしてきました。
だけどその中で薄々気づき始めました。これってたぶん、目的というより手段なのだろうな、と。
藤本智士さんは『魔法をかける編集』の中で、
「編集」とは、理想とする「ビジョン」を、多様な「メディア」を活用して実現させようとするための手段であり、「編集者」とは、その使い手である
藤本智士『魔法をかける編集』インプレス、2017
と書いています。
編集力とはズバリ、「メディアを活用して状況を変化させるチカラ」です。
藤本智士『魔法をかける編集』インプレス、2017
とも。

これまでの私は、変化させたい状況が何なのか自分で認識せずにただメディアをつくりたいと漠然と思っていたのだ、と今は思います。
だけど今の私には、未来にこうなってほしい、という言うなればビジョンがあります。
だから私は魔法使いになりたい。なりたいと思った以上、それが私の仕事なのだと思います。
描くビジョンに対して希望を持ち、そのために読み、書き、話し、聞き、教える、という手段を取りたいと思います。
最後に、希望形ではなく言いきることが大事、と昔聞いたことがあるので、この言葉で締めくくりたいと思います。
魔法使いに、私はなる!
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